リアル店舗の活きる道〜「でんかのヤマグチ」さんにヒントをみた〜

昨日のルビコンの決断で、
「でんかのヤマグチ」さんの事例が紹介されていた。


リアル店舗の活き残る道のヒントがあるように思うので、
以下、備忘のためのメモ。


※TV局の紹介分と、
 過去、日経ビジネスに取り上げらていた
 「でんかのヤマグチ」さんの事例を読んで、
 その内容をまとめてくださっていたblogから引用しております。



(ここからTV局の紹介文引用)---
家電戦争!驚きの高値売り
仰天サービスで量販店に挑んだ電器店


1996年。
東京・町田市ある電気店『でんかのヤマグチ』。


社長の山口 勉(やまぐち つとむ・当時56歳)と妻で経理担当の雅江。
昭和45年の開店以来、訪問販売に力を入れ、
町の電気屋さんとして愛されてきました。


その当時の売上高 約16億円、従業員45人、
バブル崩壊後の消費低迷を何とかしのいでいた。
そんな町の電気屋さん『でんかのヤマグチ』を襲った衝撃とは?


都心部で急速にシェアを伸ばしてきた
ヨドバシカメラヤマダ電機などの家電量販店は、
郊外の住宅地に大型店を展開。


人口が 35万人を突破し、
ベッドタウンとして発展した町田市にも家電量販店が相次いで進出。
町田を舞台に家電戦争が勃発していたのです。


圧倒的な安さ、大変な衝撃が『でんかのヤマグチ』に襲いかかり、
社長の山口は思わずその苛立(いらだ)ちをメーカーの担当者にぶつける。


「うちはね、今まで誇りを持って売ってきたんだよ!
 あんた達メーカーさんの言う、卸値(おろしね)で仕入れてきたんだ。
 同じ卸値で(量販店の)この値段で売れるわけないじゃないか!」



なぜ量販店は価格を安く出来るのでしょうか?



その秘密は仕入れにありました。



量販店はメーカーから1,000台、2,000台と
大量に仕入れているため大幅な値引きを受けています。



そして返品しない、在庫を大量にかかえる、
というメーカーからすれば非常に助かることをしてくれるので、
ある程度まとまった現金がキャッシュバックされているのです。



それらを商品の価格に還元=割り引きをすることで
安く売っても利益を得ることが出来るのです。



公正取引委員会の調べによると、
家電の仕入れ価格が量販店を100とした場合、街の電気店は103〜115。(2008年12月)



小さな会社が安さで勝負すると圧倒的に不利です。
さて、山口社長には打つ手があるのでしょうか?


(ここまでTV局の紹介文引用)---


(ここから日経ビジネス引用)---

このでんかのヤマグチさんの粗利はなんと37.8%。

薄利多売を得意とする家電量販店とは明らかに逆のアプローチですね。


しかも、パナソニックの販売店の平均は、30-33%だそうです。

特に部品修理は、人件費を除けば非常に粗利が高い模様。

とはいっても、基本的にクーラーなどでも感じますが、
その設置料金は意外にも高いと思いますが。



このヤマグチのユニークなところは、
購入した商品に欠陥があった場合


「お客様の期待を裏切ったのは事実。
 壊れた製品を修理する前に、まずはお客様の『心の修理』が不可欠だ」


と社長が語っています。


うーん、心の修理とはよく言ったものだ・・・と思いますが、
これはほぼすべてのビジネスにおいて、
非常に基本的なところですね。
特に、薄利多売のビジネスを展開しようとした場合、
最も見落としがちな部分です。



ヤマグチはもちろん従業員がたくさんいるわけではありません。
外販営業は13人

その営業マンが全ての可能性のある顧客を訪問、
もしくは量販店に対抗する形でのビラの展開を積極的に行っていません。

いわゆる「集中と選択」を中心に行っています。


顧客を2つの軸のセグメントに分けています。


年間購入金額購入頻度です。


そこで驚くのが、
1年未満に累計100万円を超えるお客が、 19.5%。
さらに1年間で1%以上伸びています。

それとは対照的に、
累計30万円未満で頻度が3-4年に一度の顧客の割合が低下。


つまり、社内の限りあるリソースを可能性の高い、
いわゆる優良顧客に絞って展開していると。



マーケティングでは、SPTと呼ばれる基本的な方法があります。


S:セグメンテーション
P:ポジショニング
T:ターゲット


顧客のセグメンテーションをうまく分けて、
自社のポジショニングを量販店と全く反対の形で位置づけ、
そしてターゲティングをきっちり行っている良い例かと思います。



「たまに帰ってくる息子が『ヤマグチ』は高いから、
 オレが駅前の量販店で買ってきてあげるよ」


なんて言っても、操作が分からない、壊れた、などの場合に
すぐ駆けつけてくれるのは、量販店でも息子でもなければ、
ヤマグチの外販営業マンだそうです。


うーん、社員だとしたら嬉しい一言ではありませんか。
もちろん、そういわせるヤマグチの社員さんもすごい。。


(ここまで日経ビジネス引用)---